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「…本当に、いいの？」
遠慮がちに問う声に、小さく頷く。
少女は小刀を手にすると、結わえられた髪を取る。


…ザク…ザク…


断片的に聞こえる、髪が切られる音。
…これは、母上との。今までの生活との繋がりを切られる音。
長く伸ばされた髪を失い、次第に頭が軽くなる。
…これは、皇子という立場の。いずれ国を支えるという立場がなくなり、自身の責任が、身分が軽くなるということ。


――…母上、母上、母上。


心の中で、何度も愛しい母を呼ぶ。
目を閉じて、何度も愛しい母を想う。
温かい手。優しい声。穏やかな瞳。…別れの涙。
母上から頂いた宝石を掌で握り締める。
「母だと思って持っていなさい」と。「母はいつも貴方と共にいます」と、
そういって託されたもの。
だけど、どれだけ宝石を握り締めても、あの穏やかで優しい温もりを感じることは出来ない。


髪が、器用に切りそろえられていく。
皇子から市井の者に…民草へとなっていく。
生きるために。今まで手にしていた物全てを引き換えにして、生きるために。


「…あの、終わり、ました」
少女が小刀を机に置きながら控えめな声で告げる。
短くなった髪を手櫛で梳くと、切られた短い髪がパラパラと床に落ちていく。
「…これで、何処からみても皇子には見えぬな」
軽くなった頭を、髪を触りながら勤めて明るい声で言う。
虚勢だと分かっているのだろうか。少女達は言葉を発することなく、沈痛な面持ちを浮かべていた。
――母上。
心の中で、もう一度母を呼ぶ。
掌にある宝石が、涙で歪んでよく見えなかった。



母上。チャグムは必ず生き延びてみせます。いつか、母上にまた逢えることを信じて、生き延びてみせます。
だから、また逢えるその時まで。さようなら、母上。





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はいはいはい！１５～２５分くらいで書きなぐったＹＯ☆
チャグムの断髪式（笑）は、全然チャグムの心情とかが描かれてなくて、ただ髪を切ってるってシーンだったんですけど、髪を切り終わったときに涙を見せるチャグムが。そんで何事もないように「これで皇子だなんてバレないよね」って明るい声でいうチャグムが物凄く愛しかったんだ！！
辛さを、寂しさを堪えながらも、そういう振る舞いが出来るチャグムは本当に強い子だと思います。

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